長年ヒートシンクを扱っていて質問されるのは「熱伝導率なら銅がいいですよね?」といった疑問。
答えを最初に言ってしまうと「塑性加工が容易」で「比重が低い」ので「製品コストのバランスが良い」事に尽きます。
その理由を、以下の特徴から確認してみましょう。
※比重は代表的な合金で抜粋しました
※金額部分は、2026年1月末現在の価格をベースに丸めて掲載しています
(まとめ)
金属/ 熱伝導率(W/m・K)/ 比重/特徴
銀 /429 /10.49/最高の熱伝導率を持つが高価で実用向きではない
銅 /398 /8.96/高性能だが重く、価格も高い
アルミ /237 /2.7/軽くて安価、コスト・性能のバランスが最適
鉄 /80 /7.87/強度はあるが、熱を伝えるスピードは遅い
ステンレス /15/7.93 /耐久性はあるが、熱を伝えにくい
(個別の特徴)
銀(429 W/m・K): 熱伝導王ですが、コストの面で実用性に大きな制約があります。
貴金属としての価値が高く、産業用製品への大量採用は現実的ではありません。
(1kg当たり 約60万円)
銅(398 W/m・K): 優れた熱伝導性を持ち、電気伝導性も高いため電子機器で重宝されます。
しかし、アルミニウムの約3倍の密度と高い価格が制約となります。
特に大型の部品では重量とコストの両面で不利になります。
(1kg当たり 約2000円)
アルミニウム(237 W/m・K): 銀や銅に次ぐ熱伝導性を持ちながら、軽量さと比較的安価な価格が強みです。
この「性能・重量・コスト」のバランスの良さが、幅広い製品開発において選ばれる理由となっています。
(1kg当たり 約1000円)
鉄(80 W/m・K): 強度は高いものの、熱伝導率はアルミニウムの約1/3です。
熱を均一に分散させる用途には不向きですが、構造材としての価値は高いです。
(1kg当たり 約150円)
ステンレス(15 W/m・K): 耐食性に優れますが、熱伝導率は極めて低く、むしろ熱を遮断する性質があります。
食品業界ではこの特性が逆に活かされることもあります。
(1kg当たり 約1000円)
この比較から見えてくるのは、アルミニウムが「高すぎず、低すぎず、ちょうど良い熱伝導率」と「軽量さ」「コスト効率」を兼ね備えた、実用的な素材だということです。
アルミ押出し材で複雑な形状を成形し、表面積を稼いで放熱性能を高められるコトもアルミが選ばれる大きな理由となっています。
アルミヒートシンクに関する調達の際にご一報頂ければ、必ずお役に立てると自負しております。
ご連絡をお待ちしております。
ヒートシンク担当
営業部 部長 坪谷
今日は、業界経験の浅い方が困惑してしまう業界用語についてお話したいと思います。
「シルバーアルマイトを白アルマイトと言うのはなぜ?」
って思ったことありませんか?
私は、先輩から「シルバーアルマイト」で教わったので、「白アルマイト」が図面に出てきた時は、かなり戸惑いました。
「シルバーアルマイト」と「白アルマイト」が同じものを指すのは、一言で言うと「着色をしていない無色透明なアルマイト処理」を、黒アルマイト(着色あり)と区別するためにそう呼んでいるからです。
なぜ「白」という言葉が定着したのか、いくつかの理由に分けて解説します。
- 「黒」に対する「白」という対比
アルマイト業界で最も一般的な着色は「黒」です。現場や設計図面で指示を出す際、染料で黒く染めるものを「黒アルマイト」、染料を使わない(無着色の)ものをその対比として「白アルマイト」と呼ぶ習慣が根付きました。
黒アルマイト = 染料で黒くしたもの
白アルマイト = 染めないもの(シルバー)
- 見た目が「銀白色」になるから
アルマイトの皮膜自体は本来「無色透明」です。しかし、処理の過程でアルミの表面をエッチング(薬品で整える)するため、表面がわずかに荒れて光を乱反射します。 その結果、アルミ本来の金属光沢が少し抑えられ、「明るい銀色」から「白っぽいシルバー(銀白色)」に見えるようになります。この見た目の印象が「白」という呼び名につながっています。
- 「白い染料」が存在しないから
実は、アルマイトには「真っ白に染める染料」が存在しません。 アルマイトの穴(ポア)は非常に小さく、白の顔料(酸化チタンなど)の粒子は大きすぎて中に入らないためです。そのため、業界内で「白」と言えば、白く染めたものではなく、必然的に「染めていないシルバー」を指すことになります。
まとめ:呼び方の違い
呼び方 ニュアンス
シルバーアルマイト 外観の色(銀色)に注目した呼び方。一般向けに多い。
白アルマイト 着色の有無(無着色)に注目した呼び方。製造現場や図面で多い。
クリアアルマイト 皮膜が透明であることに注目した呼び方。
製造現場に相談する際、図面に「白アルマイト」と書いてあれば、ある程度経験を積んでいれば即座に「無着色の標準的なシルバー処理だな」と理解します。
もし「もっとマット(艶消し)な白に近い質感にしたい」といった要望があれば、アルマイトの前の「サンドブラスト」や「化学梨地」といった工程を組み合わせを提案させて頂きます。
対応してくれるアルマイト業者は減ってしまいましたが「エッチング処理長め」と言う裏技で表面を荒らし放熱性能をアップさせた経験もあります。
「本当に白くしたい」と言うご要望でしたら、耐食性能が必要であれば下地にアルマイト処理をして塗装で白くすることも可能です。
設計段階から、材料調達、二次加工、表面処理まで一括でお任せ頂ける体制を整え、皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
お問い合わせは、メールでも電話でも構いません。
担当:ツボヤ、イトウ