11月2013
デジタルモールド(Digital Mold)
デジタルモールド(Digital Mold)専用の大きなサイズのモールドベースが完成し、成形TRYを行う為に現場で立ち会ってきた。
デジタルモールドとは、業務提携先の有限会社スワニーによる、製品入れ子部分をストラタシス社のObjet260 Connex™で成形した型で樹脂インジェクション型を作る技術の名称。
前回の記事 http://mspjpn.com/digital-mold.html
誤解のないように先に書かせていただくが、この技術は金属の金型が必要なくなる技術では無いと言う事。
あくまでも、量産と同じ材質で同様の成形プロセスによるサンプル作成を行う事により、開発段階での様々な評価や実験のリードタイムを短縮し、開発スピードをあげられるツールに成り得るのでは無いかと試行錯誤を繰り返している段階。
そんな背景を受け、日経新聞への掲載による反響で得られたニーズの具現化を目的とする今回のTRY。
今回のTRY形状は、平面にレンズカットを施しアクリルで成形出来るかの検証と、合わせ面を持つ3D形状の精度確認。
この立ち会いにはストラタシス社の社員も立ち会い、その状況をご確認頂いた。
まずは、平面のレンズカット品。
流動を確認するため、流れの良い軟質の材料を用いてTRY。
レンズカットへの転写もスムーズで、本命のアクリルにも期待を抱かせる滑り出し。
しかし、樹脂で樹脂を整形する技術はそんな簡単な事ではなく、成形機の微妙な注入圧力コントロールも必要。
金属金型でアクリルを整形するときの温度条件とは異なる所も、大きなポイントです。
結果は、思った以上にレンズカットの面が抵抗になり、デジタルモールド側に影響を与えている事が判明しました。
TRY形状は、通常の金属金型と同じモノを想定していたので、最初のTRYにしては、思ったよりも流れたと言うのが、参加メンバーの感想でした。
また、合わせ面を持つ3D形状の方は、パーティングライン(型合わせ面)をどこまで圧力との兼ね合いでコントロール出来るかをTRY。
こちらも、ランナーとゲート位置が圧力の上昇とともに影響が出る事が判明し、実験結果としては良いデータを取ることが出来ました。
この様に、新しい技術を開発していくには様々な検証を重ね、TRY&ERRORを繰り返しデータを積み重ねる必要があります。
MSPでは、業務提携会社の有限会社スワニーと共に、デジタルモールドの技術を更に高め、より多くの皆様に、開発スピードのアップと言う成果をお届け出来るように努力していきたいと思います。
デジタルモールドに関するお問い合せは
株式会社エムエスパートナーズ
担当 伊藤
メール sales@mspjpn.com
電話 045-633-1056
まで、お気軽にお問い合わせ下さい。
2013年11月28日 11:20 AM | カテゴリー:デジタルモールド, 協力メーカー 技術紹介, 材料について, 樹脂加工
メセナアワード2013 大賞を受賞!
財団法人企業メセナ協議会様が、企業・企業財団による優れたメセナ活動を表彰するメセナアワード2013において、私が立ち上げより運営事務局を担当し、現在は副会長を務めさせて戴いている全日本製造業コマ大戦協会が主催する「全日本製造業コマ大戦」が、栄えある「メセナ大賞」を戴きました。
<blockquote>メセナ (mécénat) とは、企業が主として資金を提供して文化芸術活動を支援することである。ただし、企業による資金以外の経営資源(人材・施設等)による支援も少なからず行われている。また、企業による事業主催なども含まれる。代表的なものに財団などを通じた資金的バックアップや、企業が主催するコンサートやオペラの公演、スポーツなど各種イベントの開催などがある。</blockquote>
2013年受賞の顔ぶれ
メセナ大賞
特定非営利活動団体 全日本製造業コマ大戦協会【神奈川】
全日本製造業コマ大戦
映画の地球儀賞
岩波不動産株式会社【東京】
エキプ・ド・シネマ-埋もれた名作映画の発掘・上映-
学びの玉手箱賞
SCSK株式会社【東京】
CAMP(Children’s Art Museum & Park)
対話でアート賞
株式会社損害保険ジャパン、公益財団法人損保ジャパン美術財団【東京】
未来を担う小・中学生を対象とした対話型美術鑑賞教育支援活動の展開
タムタムしま賞
トヨタ自動車株式会社【愛知】
アートマネジメント総合情報サイト「ネットTAM」
光る町なみ賞
村上町屋商人会(むらかみまちやあきんどかい)【新潟】
町屋に光を当て、町を活性化させ、町屋を守る商人(あきんど)の挑戦
【特別賞】文化庁長官賞
三菱地所株式会社【東京】
障がいのある子どもたちの絵画コンクール「キラキラっとアートコンクール」
顔ぶれを見ますと、改めて大変な賞を戴いたんだと緊張します。
コマ大戦協会が選考された理由は、モノづくり日本の復活に向けた、町工場の活性化やこれからのさらなる発展を求められての事だと思います。
贈呈式では、選考委員の方より選考理由をお話いただきました。
特に心に残っているのが、茂手木潔子さん (音楽学、上越教育大学名誉教授)が仰っていた、「めいめい」と言うキーワードでした。
まさに、コマ大戦は「めいめい」が持つ技を真剣に発揮しながら発展して来た活動です。
そして、コマ大戦協会がコマ大戦を通じて目指すものは
<blockquote>「日本製造業に活気を与え、経済的成長を目指します。製造業者達のモチベーション向上、学生及び子供達の製造業への就職、 参加者の情報発信力の増強日本国内及び世界への技術アピール BtoCの販路確立市場の創造と拡大。」</blockquote>
を掲げており、けっしてコマを回して楽しむためだけに活動をしていないという点も、ご理解いただけた上での選考だったのだと思います。
コマという単純な伝統的な遊びに、日本の最先端の技術を加え全国各地域で多くの企業を巻き込み、子供達にモノづくりの楽しさを伝える活動を行ったり、高校生や大学生に対してもモノづくりを身近に感じてもらう為に参加を促したり、老人ホームでの活動などあらゆる世代を巻き込んだ活動を通じ、地域の活性化に貢献する為のツールとして利用されています。
「遊んでないで仕事しろ」と言う叱責を受ける事がありましたが、今回のような素晴らしい賞を戴くことで、少しは良い事をしているのだとご理解いただけたのではないかと思っております。
とても嬉しい出来事でしたので、皆様にもご報告させて戴きました。
株式会社エムエスパートナーズ
代表取締役 伊藤 昌良
2013年11月21日 5:00 PM | カテゴリー:メディア掲載報告, 代表のメッセージ
業務提携先の会社が、素晴らしい技術を開発致しましたのでご報告します。
樹脂成形の技術で、専用にはなりますが従来のモールドベースと同じ構造で、製品入れ子部分のみデジタルツールを利用して金型を製作する「デジタルモールド」という技術です。
業務提携先 : 有限会社スワニー (長野県伊那市)
日本経済新聞で紹介された記事を掲載します。
デジタルモールド新聞掲載記事
開発スピードが問われる時代に、設計評価段階で量産と同じグレード樹脂で形状化が安価に出来れば・・・という事で協力会社が独自に実験しており、3Dプリンター世界シェアトップのストラタシス社製のObjet 260 connexの耐熱造形樹脂を利用することで、今回の技術開発のトライを行ったとの事です。
デジタルモールド入れ子
この画像の製品入れ子部分は、3Dプリンターによる造形と造形サポート除去で5時間ほどで完成しました。
金型への組み込みや調整などは、1~2日ほどで出来ましたのでリードタイムは通常の金属入れ子に比べると驚くほど短縮できおります。
デジタルモールド成形トライ
やはり、成形条件は通常の成形と同じようにとはなかなか行きませんが、この短時間で量産と同じ材料で部品形状確認できるのはデザイン担当の皆さんや、設計者様としては画期的ではないでしょうか。
今回の形状ではスライドコアも可動させて深いリブなども設けてみたのですが、しっかりエジェクターで型離して成形ができましたが、外観はヒケやバリでまだまだ研究が必要な様です。
10月初旬、大坂での展示会で金型を展示したので、初回トライでは無理をせずに、材料はPP、POM、ABSの3材料で合計30ショットほど成形したとの事。
デジタルモールド入れ子と製品
提携先曰く、今後の課題は、型強度を考慮しながら成形圧力や樹脂温度をどこまで上げる事ができるか、入れ子形状の工夫で型強度の向上など課題を持って取り組むと意気込んでいます。
また、現在のテスト用モールドベースの他に、もう少し大きなサイズのテストも行える様にモールドベースを手配中です。
製品の拡大写真も掲載しますね。
けっこう深リブも出来ていて、いろいろな面で活用して戴ける筈だと感じております。
デジタルモールド 試作品写真
MSPの手元にトライ品があります。
まだまだ勉強しなければならない事が多いのですが、ご興味のある方はお声掛け戴ければご説明に上がりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
その際には「デジタルモールド」の件でとお申し付け下さい。
2013年11月1日 9:00 AM | カテゴリー:デジタルモールド, 協力メーカー 技術紹介, 材料について, 樹脂加工