ヒートシンク関連のお仕事をしておりますと、どうしても熱伝導のことについて調べる
機会が増えてきます。
その中で、文献によって「熱伝導率」と「熱伝導度」と言う違った表現をされている
のをたまに見かけて、最初の頃は何が違うんだ?と戸惑っていました。
そんな疑問をお持ちの方も沢山いらっしゃるのではないかと推察して、調べた
事をこちらにメモ代わりとしてアップしておきます。
結論を先に言えば、「熱伝導率」と「熱伝導度」は同じってことでした。
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熱伝導率とは、熱伝導において、媒質中に温度勾配がある場合に
その勾配に沿って運ばれる熱流束の大きさを規定する物理量である。
熱伝導度ともいう。
カーボンナノチューブ(C)/3000 – 5500
水(H2O)/0.6
ポリエチレン/0.41
エポキシ樹脂(/0.21
シリコーン(Qゴム)/ 0.16
木材/0.15 – 0.25
羊毛/0.05
発泡ポリスチレン/ 0.03
空気/0.0241
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改めて、アルミがヒートシンクに採用される理由がハッキリと見える数値ですね。
アルミ押し出し形材を始め、アルミヒートシンクなどでお困りの際には、遠慮無くお申し付け下さい。
皆様からのお問い合わせをお待ち申し上げております。
(お問い合わせ先)
営業担当 : 坪谷・伊藤
HP http://mspjpn.com/
mail sales@mspjpn.com
電話 045-633-1056
FAX 045-633-1051
2016年6月29日 3:13 PM | カテゴリー:アルミ押出し材, ヒートシンク・放熱板, 加工豆知識, 学びのメモ, 材料について, 熱伝導度, 熱伝導率
アルミと一言に言っても、配合している合金によってそれぞれの特徴があります。
「Al-Mg-Si系」と言うと判り難い人も多いと思いますが、A6000系合金と言うと、それね!と言う方は多いのではないでしょうか。
A6000系と言えば、国内では最もポピュラーな押し出し材に使われる「A6063」 も「Al-Mg-Si系合金」と言う事になります。
主な用途は、建材や船舶、車輌部品、構造物に始まり、家具や家電など多くの分野で採用されております。
押し出し加工性に優れており、強度や耐蝕性も良好で、表面処理性も良い事から様々な分野で採用されております。
また、熱伝導にも優れている事で「ヒートシンク」を始めとした放熱性を求める部品としても多く採用されております。
単純に主な合金別の熱伝導度を列記してみます。
*文献によって数値にバラつきがあります。
(単位 : W/m・K)
A1060-O 230
A2011-T8 170
A3003-H18 180
A5052-H34 140
A5056-H38 110
A6061-T6 170
A6063-T5 210
A7075-T6 130
ADC12 96
HT-1 171
DMS5 150
これだけの差があるので放熱性を求める部品の場合、どの合金をベースに設計するかにより製品の大きさを左右する程の違いが出来ます。
A6063材がヒートシンクの材料として採用されているのは、押出性の良さは勿論ですが放熱性能の面でも大きなメリットがあるからです。
但し、この系統の合金にも弱点はあります。
溶接には弱く、アルミの長所でもあるはずの高熱伝導の関係で、溶接個所だけでなく周辺部位まで熱による強度低下が起きてしまう点にあります。
強度的な要求がなければ問題はありませんが、強度を求める場合にはボルトやリベットなど物理的に何かしらの締結方法を用いることが多いのもこの材料を採用する際には注意が必要です。
今日は、一般的にはA6000系と称される「Al-Mg-Si系」アルミ合金についてまとめてみました。
MSPでは、それぞれの合金特性を活かした最適設計のご提案をさせて戴き、設計段階からのコストダウン活動をお手伝いさせて戴いております。
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2016年6月15日 2:33 PM | カテゴリー:アルミ押出し材, ヒートシンク・放熱板, マグネシウム合金, 切削加工, 学びのメモ, 材料について, 表面処理
アルミヒートシンク(放熱板)
アルミヒートシンクを多く扱わせて頂いている中で、ヒートシンクに求められる放熱効果の基本的な知識が足りないと実感したので、少し勉強してみました。
良く判らないので、何度か読みなおして勉強して行きたいと思います。
まずは「熱量」「比熱容量」「熱容量」と言う3つの言葉があります。
Wikipediaで調べてみました。
熱量(ねつりょう)とは?
物体間を伝わる熱や、燃料や食品の持つ熱を、比較したり数値で測ったりできるもの(=量)として捉えたもの。
単位はジュール(栄養学関係ではカロリー)が使われる。
比熱容量(ひねつようりょう)とは?
圧力または体積一定の条件で、単位質量の物質を単位温度上げるのに必要な熱量のこと。
単位は J kg−1 K−1 もしくは J g−1 K−1 が用いられる。
水の比熱容量(18℃)は、1 cal g−1 K−1 = 4.184×103 J kg−1 K−1 である。
熱容量(ねつようりょう)とは?
系に対して熱の出入りがあったとき、系の温度がどの程度変化するかを表す状態量である。
単位はジュール毎ケルビン(J/K)が用いられる。
う~ん、言葉だけでは分かり難いですね。
いろいろと調べる中で、いい表現をしているページが有りましたので、そちらから引用させて戴きます。
(一部補足して内容を変更しました)
挿絵などもあるので、そちらでご覧になられた方が判りやすいでしょうね。
===一部引用開始===
熱とは何か? (http://zukai-kikenbutu.com/buturikagaku/1-netu.html)
熱の基本的な概念である熱量、比熱、熱容量について学びます。
まず、熱とは何かについて説明しましょう。
熱とは、物質間のエネルギーの流れのことを意味します。必ず高温の物質から低温の物質に移動するという性質があります。
熱量とは?
熱量とは、物体間でのエネルギーの流れ、すなわち熱の量を数値化したものです。
記号はQ” 単位はJ(ジュール)を用います。
ジュールとは?
ここで熱量に使われているJ(ジュール)という単位について、定義を確認しておきましょう。
J(ジュール)とは、物体に力を加え移動させる仕事に必要なエネルギーの量を表す単位です。
1Jは、物体を1Nの力で1m移動させる仕事に必要なエネルギーの量と定義されています。
よって、1J = 1N·m(ニュートンメートル)となります。
熱量は、物質間を移動するエネルギーの量を表してますので、エネルギーの単位であるJを使用します。
余談ですが、1Jは、地球上で約102gの物体(リンゴ程の重さ)を1m持ち上げる仕事に必要なエネルギーと同じになります。
リンゴで例えているのは、アイザック・ニュートンが木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を発見したというエピソードにちなんでいるためです。
ジュールとカロリー
以前は、水1gを1℃上昇させるのに必要な熱量として1cal(カロリー)が使用されていました。
1calは、4.186Jです。
4.186という数値は、後述する水の比熱と同じ数値になります。
比熱容量
比熱(ひねつ)とは、物質1g の温度を1℃(K)上昇させるのに必要な熱量のことです。比熱容量(ひねつようりょう)ともいいます。
記号はc” (小文字のc)、単位はJ/(g·℃)またはJ/(g·K)(ジュール毎グラム毎ケルビン)を用います。
比熱c” [J/g·K]は、質量m[g]の物体に熱量Q[J]を与えた時に生じる温度差 △T[K]を使って式で表すと、次のようになります。
C = Q / m x △T
この式を変形させることで、質量m[g]、比熱c[J/(g·K)]の物質を△T[K]上昇させるのに必要な熱量Q[J]がわかります。
Q = m x c x △T
比熱の大小でわかること
比熱は、物質1gの温度変化のしにくさ(温まりにくさ冷めにくさ)を表しているともいえます。
比熱の大きな物質ほど温度差を生じさせるのに大きな熱量が必要になるため、温まりにくく冷めにくいです。逆に、比熱の小さな物質は小さな熱量で温度差を生じることができるため、温まりやすく冷めやすいです。
水の比熱
水は、液体の中で最も比熱が大きいことが知られており、その値は4.186 J/(g·℃)(またはJ/(g·K))となります。
つまり、水1gを1℃上昇させるのに4.186J必要ということです。
昔は、これを1calと言っていました。
水の比熱の大きさというのは、日常生活でも実感することができます。
例えば、夏の海岸では同じ量の太陽の光が降り注いでいるのにも関わらず、砂浜は歩くのが困難な程、熱くなります。
それに比べて、海水の温度上昇はわずかです。
これは、水の比熱が砂の比熱よりも大きい(水の方が砂より温まりにくい)ことが原因で起こる現象です。
水の温まりにくい性質は、消火剤として非常に優れています。
その他の用途としては、水まくら、熱交換器の熱媒体、原子炉の冷却などが挙げられます。
また、冷めにくい性質は湯たんぽなどとして活用されています。
熱容量
熱容量とは、任意の量の物質の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量のことです。
記号はC(heat CapacityのC、大文字)、単位はJ/℃またはJ/K(ジュール毎ケルビン)を用います。
熱容量C[J/K]は、物質の質量m[g]と比熱c[J/g·K]を用いて次のように表すことができます。
C = m x c
比熱と熱容量の違い
比熱と熱容量の違いは、対象としている物質の量の違いになります。
比熱が物質1gを対象としているのに対して、熱容量では任意の量(ある量)を対象としています。
記号はまぎらわしいですが、比熱はc(スモールシー)、熱容量はC(ラージシー)で表されます。
う~ん。。。
なんか、分からないですね~
アルミのヒートシンクを採用する時に必要な知識として、熱移動の3原則と言うのがあります。
熱伝導
対流
熱放射
ポイントは、熱が何によって運ばれるか(熱の運び屋は何か)になります。
結論を先に言ってしまうと
熱伝導は物質が
対流は流体が
熱放射は電磁波が
熱を運びます。
なお、熱は高温側から低温側へ伝わっていきます。
両者の温度が等しくなると、熱移動(伝熱)しなくなります。
これを熱平衡(ねつへいこう)といいます。
熱伝導(伝導)とは、熱が物質よって運ばれる現象のことです。
原子・分子の格子振動の伝播や自由電子の移動によって、熱が運ばれていきます。
熱の伝わりやすさは物質によって異なり、熱伝導率(ねつでんどうりつ)という数値によって区別されます。
数値が大きいほど、熱は伝わりやすくなります。
また、熱伝導度(ねつでんどうど)といわれることもあります。
熱伝導率の差を利用した例としては、調理用の鍋が挙げられます。
容器部分には熱を伝えやすい金属が、取っ手部分には熱を伝えにくい木が使用されています。
金属は、熱伝導率が大きく、熱の良導体として知られています。
ちなみに、「伝導率が高い物質」を良導体(りょうどうたい)、「伝導率が低い物質」を不良導体(ふりょうどうたい)といいます。
銀は、最も熱伝導率が大きい金属として知られています。
アルミニウムは、アイスのスプーンとして用いられています。
熱伝導率の高さを活かして、凍ったアイスに体温を伝え、溶かしながら、すくい出せる様にしています。
また、アルミ缶は熱が速く伝わるため、冷やして飲むジュースなどを入れるのに向いています。
スチール缶は、アルミ缶とは異なり熱伝導率が小さいので、保温が必要な温かいコーヒーなどを入れるのに向いています。
熱伝導率は物質の状態によっても異なり、気体<液体<固体の順に大きくなります。
物質の状態による熱伝導率の違いは、日常生活の中でも実感できます。
例えば、液体である「水」と気体である「空気」を比べてみましょう。
90℃の水(お湯)に触れたらヤケドしてしまいますよね。
しかし、90℃のサウナ(空気)の中に入ってもヤケドすることはありません。
これは、体に接触する分子の数が液体である水(お湯)の方が、気体である空気より多いことによって生じる現象です。
固体であっても粉末の場合は、すき間が生じるため見かけの熱伝導率が小さくなります。
その結果、火災の危険性が増します。(粉じん爆発の危険もあります。)
例えば、塊状であれば問題ない金属も粉末になると燃焼しやすくなるため、消防法上の危険物として指定されているものがあります。
鉄粉やアルミニウム粉、亜鉛粉がその例です。
熱伝導率が高い物質は、可燃物であっても火災の危険性が低くなります。
熱が逃げやすく熱が蓄積しにくいので、物質の温度が上昇しにくくなるためです。
逆に、熱伝導率が低い物質は、熱が逃げにくいため引火点や発火点に達しやすく、火災の危険性が高くなります。
対流(たいりゅう)とは、熱が、温度差によって生じた流体(液体や気体)の移動によって、運ばれる現象のことです。
液体や気体は、温度が上昇すると膨張し密度が小さくなり軽くなるため上昇していきます。
そこへ、周囲の低温の密度が大きく重い部分が流れ込むことで循環が生じます。
暖められたビーカーの中で起こる対流お風呂を沸かした時に混ぜないでおくと、始めは上が暖かく下が冷たいままで、次第に均一に暖かくなるという現象も対流によるものです。
また、エアコンは、温風または冷風を作り出し、部屋の中で強制的に対流させることで温度調節を行っています。
余談ですが、宇宙の様な無重力状態では、流体の動きがなくなるため、対流は起こりません。
熱伝導と対流は、どちらも物質が熱の運び屋としてはたらいていますが、熱伝導が物質の移動を伴わないのに対して、対流は物質(流体)の移動を伴うという違いがあります。
熱放射(放射)とは、熱が放射線(電磁波)によって運ばれる現象のことです。熱ふく射(ふく射)ともいいます。
太陽の光やストーブ、焚き火などにあたると暖かく感じるのは熱放射によるものです。
放射線によって熱が運ばれるため、物質のない真空中であっても熱は伝わります。
物質を介した熱の移動ではないことに注意しましょう。
===引用終わり===
余計にわからなくなってしまった・・・
営業でも、基礎知識を習得し、お客様に良いご提案が出来るように、MSPの営業担当は、日々勉強し続けています。
2016年2月25日 10:25 AM | カテゴリー:アルミ押出し材, ダイカスト, ヒートシンク・放熱板, 学びのメモ